意思決定インテリジェンスとは?AIの次なる進化とビジネス活用事例を解説
テクノロジーの進化が加速する中で、次なるAIのフェーズとして注目を集めているのが「意思決定インテリジェンス(Decision Intelligence)」です。
今回Build+(ビルドプラス)では、AI開発を手がける kimaru.ai 社のCEO Evan Burkosky氏 にインタビューを実施。 企業が直面する「意思決定プロセスの非効率」をどう変えられるのか、その実例と今後の展望について詳しくお話を伺いました。
インタビューの方を見たい方はぜひこちらから⬇️(インタビューは英語になります)
本記事では、Evan氏が語ってくれた意思決定インテリジェンス(Decision Intelligence)についての重要点をピックアップして解説しています。
ではまず、「意思決定インテリジェンス」とは何なのか、基礎から見ていきましょう!
意思決定インテリジェンスとは?
国内ビジネスにおける時間配分は、 80%を意思決定プロセスが占め、実際の業務には20%の時間しか残されていません。計画工程を20%に留め、80%を実行に費やすシリコンバレー式の真逆だと言えるでしょう。
意思決定インテリジェンス(英語ではDecision Intelligence)は、意思決定プロセスの最適化に特化したAIエージェントツールです。現在は、グローバルサプライチェーンに携わる小売業・カスタマーサービス・コンサルティング業界を中心に登用が始まっています。
新技術やビジネス変革や2025年の崖が意識される昨今、JETROの主導で新たな意思決定インテリジェンスが開発されました。意思決定インテリジェンスのkimaru.aiは、処方的分析生成に特化したLRM (大規模推論モデル) ベースのプラットフォームです。また、開発企業であるkimaru.ai社は、国内市場経済の成長を目標に掲げたJETRO グローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラム(GSA)提携のトップアクセラレーターでもあります。
LLM (決定論モデル) vs LRM (確率論モデル)
LLM (決定論モデル) vs LRM (確率論モデル)
業務に役立つのは?
ビジネスシーンでは、予測性のあるLLM’より適応力のあるLRMが効果的。
LLMは事前学習重視のモデルであり、チューニング用のメモリ容量の制限が大きい。
LRMは 強化学習(RLHF)のモデルであり、チューニング用のメモリ容量が大きい。
強化学習プロセスが生成AIの回答精度向上には欠かせません。LRMのクリティカルシンキング機能や問題解決機能を現実世界の課題解決に活用できるようになります。
意思決定に関わるAIの生成回答
意思決定に関わるAIの生成回答は、いくつかの種類に分けられます。
記述的分析:集積されたデータから法則性を導きます。(例: Amazonのオススメ商品リスト)
予測的分析:導き出された法則性から今後の動向を予測します。 (例:検索エンジンの予測機能)
処方的分析:導き出された法則性や予測と乱数アルゴリズムを駆使し、 最適化された行動パターンを検討します。 (例:意思決定インテリジェンス)
現実世界のビジネスへの意義 :
“意思決定を加速して、企業コスト削減に貢献!"
意思決定インテリジェンスは、以下のサプライチェーでの経済効果が期待されています。
価格設定の加速化
生産計画・余剰在庫の最適化
供給ルートの効率化
需要予測
Kimaru.ai社の業界調査では、意思決定インテリジェンスを活用した最適化で生産計画・余剰在庫コストを平均15 %削減することが可能です。また、在庫管理に関わる保管期間や保管費用の削減に加え、食品廃棄の削減、余剰在庫削減などの効果が35%に上るとされています。 STGsや ESGなどの環境問題対策への貢献も期待されています。
一方、意思決定インテリジェンスを活用した事例では、サプライチェーンサービスにおけるカスタマーサービスにおいて65%の改善がみられました。サービスの効率化により、カスタマーサポートにおけるKPIが向上したと結論づけられています。
活用のポイント :
“人間の創造性とAIアルゴリズムの織りなすシナジー”
意思決定インテリジェンスの利用事例には、以下の3点が考えられます。
生成された回答を受け入れ、実行プロセスに移る。
決定までの保留期間を設け、他のツールや質問に移る。
生成回答を受け入れず、パラメータやメトリックス調整のフィードバックを行う。また、納得できる回答が得られるまで、何度でもフィードバック工程を続ける。
上記のいづれにおいても、AI処理は予測可能なシナリオを考察することです。人間の介入を伴うフィードバック強化学習が注意が必要です。
今後の展望予測 : 将来的な生産性向上
労働生産性が向上することで、より重要な課題やタスクに取り込む時間が捻出可能です。
誰にでも複数業界を跨いだキャリア形成や技術スキル取得が可能な時代が訪れるでしょう。
Evan Burkosky氏からのメッセージ
AIエージェントが普及するこれからの時代は、適応力が欠かせません。AIでなくなる業務はありますが、同時に継続学習によるスキルアップ機会が得られる点が重要です。
現在は、AIエージェントの勃興期です。性能に関する誇大表現に踊らされないよう自身で調べることが重要です。
新卒&業界未経験の方へ:AIの仕組みを理解することが活用への第一歩です。AIでなくなる業務もありますが、経歴・経験はなくなりません。AIがキャリアアップツールとして活用できることを忘れないでください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。Kimaru.aiを活用した業務最適化については、Evan Burkosky氏のメールアドレス (even.kimaru.ai) にご相談いただくか、または Kimaru.ai社のWebページをご確認ください。また、インタビュー動画は、こちらからご覧いただけます。