Wahl+Case 5年ビジョン PART2 -『マーケティング』
Recruitment is broken, we’re on a mission to fix it.
Wahl+Case(ウォールアンドケース)は、候補者、クライアント、従業員、投資家、ビジネスパートナーの皆様のおかげで成り立っています。私たちは透明性を重視しているので、5年後のビジョンをブログシリーズとして皆様にお伝えすることにしました。
一緒に日本の”リクルート”事情を変えていきましょう。
私たちのビジョンは以下の5つのポイントを中心にしています。今後数週間にわたり、リーダーシップチームのメンバーがそれぞれのポイントに焦点を当てていきます。
リスクを負ってマーケティングに投資する-未来はインバウンド。
パート2では、マーケティングチームリーダーの鍛治原 安樹(かじはら あんじゅ)が、マーケティングについてお話しします。
未来はインバウンド
日本では、IT・テクノロジー分野での人材獲得競争がピークに達しています。日本における人材不足は現実です。2019年の応募者1人あたりに対する求人数は1.60で、労働者よりも仕事が多いということになります。パンデミックによってこの比率は低下しましたが、COVID関連の解雇も多いため、これは短期的な効果にとどまると予測されています(それでも求人数の対比率は1より高いです)。求人数と応募者数の比率のギャップは再び広がるでしょう。
IT業界ではこの数値は特に高く、増加傾向にあります。経済産業省の試算によると、2030年までに、特にAIやIoTなどの新しい分野において、最大約79万人のソフトウェア・エンジニアが不足するとの結果が出ています。これは日本企業だけでなく、経済全体に影響を与えます。
あまりにも需要が高いため、エンジニアはLinkedInや他の求人サイトで、社内外のリクルーターからのスカウトメッセージを大量に受信することになります。この”スカウトメッセージ”には通常、メールのテンプレートや個人宛にカスタマイズされていないメッセージが使われます。そのため、受信側であるエンジニアたちの、開封率や返信率が低くなり、たとえ良い案件があったとしても、彼らに連絡を取ること自体が非常に難しくなっています。また、一般的に見知らぬ番号からの電話に出る人は多くないため、電話をかけることも困難ですーコロラド州の山中で遭難したときでさえ、電話に出なかった人もいます。
昔は適当な会社に電話して、受付で嘘をついて社員をヘッドハンティングしようとしていたので、採用活動は常にアウトバウンド・ビジネスでした。しかし、人材不足を背景に、雇用主から社員へのパワーシフトが進んでいます。熟練した社員は、自分の需要が高いことをよく理解しており、自分のキャリアをこれまで以上にコントロールできるようになっています。
この新しい時代において、求職者の受信箱はリクルーターからの電話や電子メールで溢れかえり、返事率は非常に低くなっています。アウトバウンドのビジネスモデルは時代遅れになっているように思えます。では、どうすれば転職活動のプロセスに付加価値を与えることができるのでしょうか?それは、情報を提供し、好奇心を刺激することです。
リクルーターは、市場全体の動向と特定の企業で起きていることの両方について、独自の洞察力を持っています。私たちリクルーターの仕事は、こうした洞察力を求職者と共有し、彼らが自分のキャリアにとって最善の決断を下せるようにサポートすることであり、マーケターとしての私の仕事は、対象となるオーディエンスを見つけることです。
インバウンドマーケティング
だからこそ、私たちはインバウンド・マーケティングの力を信じているのです。ブランドの認知度を高めることは、潜在的な求職者の目に触れ、覚えてもらうことが非常に重要です。私たちは、求職者のニュースフィード、タイムライン、ホームタブに価値ある情報を常に発信していたいと思っています。マーケティングにおける最も古い概念のひとつである「7の法則」は、今もなお適用されています。潜在的な求職者は、私たちのメッセージを少なくとも7回は目にしなければ、私たちに関心を示してはくれないのです。
そのメッセージとは、面接のコツや給与ガイドのような転職に密接に関連するトピックだけでなく、市場の洞察や業界のトレンド、クライアントの新製品の発表など、より幅広いトピックのコンテンツを通じて発信されます。私たちが日本のハイテク市場における業界の専門家であると視聴者に伝われば、印象に残り、将来、転職を考えるときに戻ってきてくれるはずです。それがすべてのインバウンドマーケッターの夢ではないでしょうか。
余談ですが、強力なブランド力を持つことは、アウトバウンドのメッセージングにも役立ちます。例えば、LinkedInでは、過去に当社のコンテンツに関わったことのある人に対して、当社のスカウトメッセージは4倍も高い反応率を示しています。これは、オーディエンスを構築し、コンテンツを通じてその人たちを惹きつけることの重要性を明確に示しています。
インバウンド・タレント
厳密にマーケティングの専門用語としてではなくインバウンドというと、日本の労働市場への外国人人材の流入についても語らなければなりません。日本は古典的な移民国家では全くありませんが、外国人労働者は近年増加しており、彼らは日本の経済にとって重要な役割を果たしています。日本では2011年以降、労働力だけでなく人口全体が減少しており、日本のGDPにマイナスの影響を与えることは避けられません。デジタルトランスフォーメーションによる生産性の向上は、その影響の一部を改善することができますが、日本がその差を本当に縮めるためには、国際的な人材が必要です。
現在、パンデミックの影響で、日本への移民の流入はほとんど止まっていますが、いずれは戻ってくるでしょう。コロナウイルスの感染拡大以前、Wahl+Caseは多くの外国人人材の日本での就職を支援してきましたが、特に他の職種に比べ、言語面での参入障壁が最も低いIT職での就職を支援してきました。ソフトウェアエンジニアや開発者のような技術職の多くは、日本語のスキルを必要としませんし、楽天のような日本のハイテク企業の中には、公式のオフィス言語を英語に変更しているところもあります。
日本企業は10年前に比べて外国人を雇うことに前向きになっており、バイリンガル・エージェンシーであるWahl+Caseは、外国人の人材が日本で次の仕事を見つけるためのサポートをするのに適した立場にあります。パンデミックが収束すれば、インバウンド人材市場は再び盛り上がると期待しています。だからこそ、私たちは、マーケティン関連のほとんどのコンテンツを英語と日本語の両言語で作成しています。
コンテンツが全て
ビル・ゲイツは、1996年にインターネットに関するエッセイで、すでにこのことを理解していました。
「多くの企業にとっての大きなチャンスは、情報やエンターテインメントの提供です。どの会社でも、規模が小さすぎることはありません。」
Wahl+Caseはエンターテイメント業界の企業ではないので、情報を提供することに注力していますが、その情報をエンターテイメント的に提供することも重要です。コンテンツそのものだけでなく、その見せ方も重要です。つまらないコンテンツを見る時間はありません。視聴者を獲得し、維持するためには、価値ある情報を提供し、それを面白い方法で提示する必要があります。
私たちのコンテンツ戦略の目的は、視聴者の求職活動やキャリアアップを支援し、東京のハイテク市場、そのビジネス、最新の開発状況、業界のキーパーソンについての追加的な洞察を提供することです。
特定の業界や職種の専門家であるWahl+Caseのコンサルタントたちは、それぞれの業界や業種に関する非常に多くの貴重な情報を持っています。マーケティングチームリーダーである私の仕事は、それらの情報を抽出し、視聴者にとって消化しやすいコンテンツにすることです。
"クラウドサービスのB2B営業で活躍するためにはどんなスキルが必要ですか?" と言う質問に対しては、B2BチームディレクターのMilosに聞き、ブログ記事を作成します。
"日本のゲーム業界で注目されているプログラミング言語はなんですか?" に対しては、Wahl+CaseのテクニカルチームとクリエイティブチームのディレクターであるBryanと話して、インフォグラフィックを作ります。
私の役割はアンプのようなものです。私たちの情報が、できるだけ多くのマーケティングの対象である人々に届くようにします。
また、私たちは多くのクライアント企業を取り上げ、彼らにプラットフォームを提供しています。毎月、CEOや創業者、経営者へのロングフォームインタビューを掲載し、業界やビジネス、製品、企業文化、職場環境などについて語ってもらっています。
求職者は、応募したいと思っている企業を異なる視点から見ることができるので、このインタビューを楽しんで視聴してくれます。また、私たちは多くのスタートアップ企業と仕事をしているので、最近設立されたばかりの企業や、海外から日本に進出してきたばかりの企業に触れることができる場合も多いのです。
また、クライアントが我々のプラットフォームやオーディエンスを活用する方法としては、ライブのウェビナーやイベント(パンデミック以前)などのコラボレーションがあります。繰り返しになるかもしれませんが、バイリンガルのIT技術者に対する需要は非常に大きいので、Wahl+Caseを利用してメッセージを発信することは、多くのクライアント、特に日本で強い雇用者ブランドを持っていないスタートアップやあまり知られていない企業にとって効果的な方法です。
もし、あなたの会社のストーリーを発信したいのであれば、是非私にご連絡ください。
リスクを冒して、クリエイティブになる
マーケティングの状況は刻々と変化しています。特に、私たちがリソースの大半を費やしているデジタルマーケティングにおいては、その傾向が顕著です。人々の行動パターンやコンテンツの消費の仕方も、同じようなスピードで変化しています。
私たちは、最新のトレンドや新しいチャネルに対応していかなければなりません。今うまくいっていることだけに集中していては、数年後にはひどい目に遭うでしょう。今、結果が出ていることに取り組むことと、将来への投資のバランスを取ることが重要です。
常に時代の先端を行くためには、実験、テスト、最適化を続けなければなりません。
リスクを取って新しいことに挑戦することは、私がチームに期待していることであり、安心してリスクを取ることが出来る文化を築くために努力しています。私は、チームメンバーが失敗を恐れて新しいことに挑戦しないことを望んでいません。もし失敗しても、それはそれでOKですし、その過程で貴重な教訓を学んだことになります。そして、この先もたくさんの失敗があるでしょう。
具体的な例を挙げてみましょう。この1年、私たちはTikTokやClubhouseといった新しいチャンネルを実験的に導入しました。clubhouseはまったく効果がなく、視聴者を獲得できませんでしたが、TikTokチャンネルはかなりうまくいっていて、いいペースで成長しています。
これは私たちにとって非常に重要なことです。なぜならば、私たちは若い視聴者の目に触れ、将来の成功に向けて準備をしているからです。TikTokが新しい候補者のためのリードジェネレーションツールになる可能性も大いに見えてきました。これは、他の人材紹介会社との差別化にもなります。というのも、TikTokではまだ競合他社を見たことがないからです。
差別化といえば、クライアントの求人情報を会社名も含めて動画で紹介することも始めました。従来、リクルートエージェントは、他のエージェントがクライアントを「盗む」かもしれないので、誰と仕事をするかについてはあまり公開していませんでした。
しかし、私たちはそのような考えを捨てました。私たちはクライアントとの関係を信じていますし、今後も彼らとのパートナーシップには大きな可能性があると考えています。双方がお互いにより多くの投資を行い、取引を減らし、より良い結果を得ることができます。これは求職者にもメリットがあります。
コンテンツの形態もまた、私たちが常に見直さなければならない大きなポイントです。もちろん、会社のブログはすぐにはなくならないでしょうし、従来のSEOは依然として強力ですが、動画は私たちの大きな焦点となっています。当社には、撮影・編集機能を備えたクリエイティブチームがあり、高品質な動画コンテンツを制作・提供しています。そして、動画コンテンツは需要が高いです。
実際に54%のユーザーが、自分が応援している企業の動画をもっと見たいと思っているという結果が出ています。また、メッセージを伝えるという点でも、ブログなどの文章コンテンツでは10%しか伝わらないのに対し、動画では95%が伝わるので、メリットが大きいのです。だからこそ、私たちはさまざまなプラットフォームやオーディエンスに向けて、コンテンツごとに異なる動画を制作しています。求職者向けのポジション説明、クライアント向けのオンボーディングアドバイス、潜在的な雇用者向けの雇用者ブランディングなどです。Youtubeチャンネルでご覧いただけます。また、音声のみのコンテンツがお好きな方には、最近Podcastも開始しました。
これはWahl+Caseの将来に向けた5つの柱の1つであり、今後5年間の成長に貢献するものです。競合他社よりも優れていたり、異なっていたりする余地は常にあります。私たちはその余地を見つけ出し、占有します。
私たちは、日本や世界の人材紹介会社に求められるものを変え、壊れた人災紹介という業界を修復していきます。
当社のコンテンツを気に入っていただけましたら、是非当社のLinkedInページをフォローしてください。最新のスタートアップストーリーや市場の洞察、日本のハイテク市場の求人動向などをお届けします。