UI/UXデザイナーの仕事とは?キャリア・必要スキル・年収まで徹底解説
すべては、1988年に遡ります。「UI/UX設計」のスタート画面となる記念すべき一年です。
同年に、Donald Norman氏が著書『誰のためのデザイン?(原題:The Design of Everyday Things)』の中で「ユーザーエクスペリエンス(UX)」という言葉を初めて用いました。
Norman氏は、当時一般的であった「システム設計」というデザイン哲学を進化させ、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」を提唱しました。考えるべきはシステム側の制約ではなく、「ユーザーのニーズや体験」であると明確に打ち出したのです。
この「ユーザー」には、もちろん「ユー(あなた)」の声も大切なポイントとして含まれていますよ。
今回のブログは、UI/UX デザイナー職としてキャリアをスタートするための虎の巻です。
Norman氏の構想から生まれたこのポジションをご紹介いたします。
UI/UXデザイナーの業務内容
UI/UXデザイナーは、デジタルコンテンツのデザイン向上に加え、シームレスな機能性実現に向けた機能改善を行うポジションです。
ユーザーフレンドリーなインターフェースを設計し、あらゆる機能を直感的な操作で簡単に使用できるアプリを形作っていきます。
以下が日々の業務内容の一例です。
インターフェース設計(UI):ボタン、アイコン、レイアウトからページ全体に至るデザインを制作します。ユーザーが目にするあらゆる要素をプロフェッショナルに洗練させていく作業です。
ユーザーエクスペリエンスの設計(UX):ユーザー操作の流れを考え、ユーザーストーリマッピングとして反映していきます。アプリ操作が複雑にならないように留意し、ユーザーが直感的な操作で楽しみながら利用できるアプリ設計を目指すのがポイントです。
ワイヤーフレームとプロトタイプ:設計アイディアからデザインのプロトタイプを作成し、リリース前のコンセプトテストを行います。チームメンバーと共に、アプリの実際の動作や使用感をテストする段階です。
チームコラボレーション:UI/UXデザイナーの業務には、協業が不可欠です。主には、デザイン実装に向けたフロントエンド開発者との連携、ビジネス目標を見据えたプロダクトマネージャーとの協議、ユーザーインサイトの収集・分析を行う上でのマーケット担当者との協働などの場面で様々なステークホルダーと関わることになります。
UI/UXデザイナーに必須スキルやツール
UI/UXデザイナーとして求られるスキル、ツール熟練度、マインドセットがあると、新たなキャリアでも軌道に乗っていくことができますよ。
ここからは、特に重要な項目をご紹介します。
ツールキット:お馴染みのFigma や、Adobe Creative Suite(Photoshop、Illustrator)などのプロトタイピングツールが頼れる仕事仲間になりますよ。
専門技術知識:HTML/CSSの知識があれば、開発者との連携がスムーズになります。また、さまざまなデバイスでズレのないデザインを実現するには、レスポンシブデザインの習得が欠かせません。
リサーチと心理学:ユーザーインタビューやユーザビリティテストを実施して、ユーザー側の思考やアプリ操作を深掘りしてみましょう。ユーザー側の使用感(クリック動作をする箇所や目的)が理解できると、大きなデザイン向上に結びつきますよ。
ソフトスキル:コミュニケーション能力は極めて重要です。アイデアを分かりやすく説明したり、チーム間で協力し合うには、円滑なコミュニケーションスキルが求められます。また、手がけたデザインの妥当性をステークホルダーに納得してもらう場面があるかもしれません。
UI/UXデザイナーになるには英語スキルは必要ですか?
転職のご支援をする中で伺うことの多いご質問ですが、一般的に日系企業と外資系企業で大きな差があります。
日系企業では英語が求められないことが多いです。もし、英語が必要になるとすれば、担当プロジェクトのフローバル展開や海外ステークホルダーとの連携が求められるといった、例外的な状況に限られるでしょう。
一方、外資系企業では、日常の中で英語を求められるケースが多い印象です。
各企業や役職にもよりますが、チームコラボレーション、部署交流、本社取次のある求人では、「英語でのコミュニケーション能力」つまり、「英語での日々の報連相」や「インターナショナルな職場の人間関係」に馴染めるかがポイントです。また外資系企業は実用性重視のため、試験スコアを指標とする日系企業とは、評価基準も大きく異なります。
UI/UXデザイナーの場合も、役職が上がって担当チームの指導・メンター業務やデザイナーチーム代表として社内外調整業務が付与された場合は、特に英語での意思疎通・交渉能力が重要になってくるでしょう。
ただし、どのポジションでも、外資系企業の面選では英語でのコミュニケーションスキルがしっかりとチェックされます。弊社では、日本語・英語両方で自信を持って面接に挑んでいただけるようプロフェッショナルによるサポートを行っております。お気軽にお問い合わせください。
また、外資系企業への転職に必要な英語レベルについては、後日別ブログでの公開を予定しております。よろしければ、併せてご一読ください。
UI/UXデザイナーのキャリアパス
UI/UXデザイナーのキャリアパスは、各企業の規模や業界により異なります。以下は、キャリア形成における一例です。
1. ジュニアUI/UXデザイナー:
UI/UXデザイナー職のエントリーポジションです。シニアデザイナーの業務サポートや、ワイヤーフレームの作成、既存プロジェクトへの参加貢献を主に担当します。
実務経験年数: 0~2年、またはブートキャンプ(集中講座)やインターンシップを通した説得力のあるポートフォリオの作成・提出
注力業務: Figmaなどの業務ツール習得、ユーザーリサーチの実施、チームコラボレーションスキルの向上。
2. ミドルレベルUI/UXデザイナー:
プロジェクトの担当者として、ユーザビリティテストの実施や他部門との密な連携も行うことになります。
実務経験年数: 2~5年
注力業務: エンドツーエンドデザイン設計、ステークホルダーへのプレゼン実施、複雑なプロダクトの設計。
3. シニアUI/UXデザイナー:
リーダーシップの発揮が求られてきます。ジュニアデザイナーの指導や戦略的デザインの決定に加えて、ビジネス目標と整合性のとれたプロジェクト管理ができているかを監督します。
実務経験年数: 5~8年
注力業務: メンタリング指導の実施、チーム間コラボレーションの参加、全社的な自社デザイン運用に関する決定への関与。
4. リードデザイナー/マネージャー:
デザイナーチームの統括に加えて、自社デザインの標準設定や、ビジネス戦略と整合性が取れたチーム運営ができているかを監督します。
実務経験年数: 8年以上
注力業務: 人材マネジメント、デザイン戦略策定、ステークホルダーとの調整協議。
5. チーフデザイナー/UXディレクター:
全社的なデザイン目標や戦略を策定し、自社価値の中核となるデザインを確立していきます。
実務経験年数: 10年以上
注力業務: 全社的な戦略の策定、チームリーダーシップの発揮、経営陣の設定した経営目標に沿った部門全体の管理。
UI/UXデザイナーの給与目安
UI/UXデザイナーの給与には、業務経験、勤務地、企業形態が大きく影響します。以下は、あくまで一例です。
ジュニアUI/UXデザイナー:
年収:¥3,500,000〜¥5,000,000(約2.5万〜3.5万 USD)
スタートアップ企業や日系の中小企業では年収350万円程度が多く、外資系企業ではより高い給与水準が設定されている傾向があります。
ミドルレベルUI/UXデザイナー:
年収:¥5,000,000〜¥8,000,000(約3.5万〜5.5万 USD)
業務経験や責任が増えるに従って、年収もドンとアップします。
シニアUI/UXデザイナー:
年収:¥8,000,000〜¥12,000,000(約5.5万〜8.5万 USD)
高度な専門人材を中心に、日系の大企業や外資系企業で期待できる給与水準です。
リードデザイナー/マネージャー:
年収:¥10,000,000〜¥15,000,000(約7万〜10.5万 USD)
リーダー職としての業務内容が増えるに伴い、大幅な給与アップが待っています。
デザイン部門責任者/UXディレクター:
年収:¥15,000,000以上(約10.5万 USD以上)
デザイン職の中でも経営層の給与は、非常に魅力的な額になることが多くあります。特に外資系企業やゲーム業界・フィンテック業界などの需要の高い業界では、この傾向が顕著です。
給与に影響する要素
企業形態:外資系企業や大手企業では、スタートアップ企業や中小企業よりも高い給与水準が設定される傾向にあります。
業界:ゲーム業界、フィンテック業界、B2C分野などのデザイン需要が高い業界では、より潤沢な予算リソースが割り振られることが多くあります。
専門性:モバイルUX、AR/VR、インタラクションデザインなどの特定分野の専門知識があれば、より高い給与が提示される可能性があります。
UI/UXデザイナーの業務連携先
UI/UXデザイナーは、様々なステークホルダーと業務で関わることになります。
以下が、主な一例です。
プロダクトマネージャー:ビジネス目標の設定や機能デザインにおける優先順位の相談でお世話になります。
フロントエンド開発者:設計したデザインをプロダクト化してもらう場面でお世話になります。業務連携の機会も一番多く、頼れる存在になるでしょう。
バックエンドエンジニア:プロダクトの正常な動作バックアップでお世話になります。裏方業務のため、直接交流する機会はあまり多くないかもしれません。
リードデザイナー/ディレクター:デザインレビューをお願いするほか、デザイン標準・方向性の設定でお世話になります。
中小企業では、UI/UXデザイン業務だけでなく、グラフィックデザインやマーケティング業務も兼任することがあります。
一方、大企業では、UI/UXのいづれかまたは両方に特化した業務を担当することになるでしょう。
キャリアをスタートするなら
UI/UXデザイナーとして転職する場合、以下が重要なポイントです。
1. ポートフォリオの説得力:完成品としてポートフォリオ単体だけを提出するのはもったいないです。ポートフォリオ作成段階のまとめも作成・提出するのがオススメです。ユーザーリサーチの実施やワイヤーフレーム作成、プロトタイプ作成などの各工程についても企業側に伝えることがポイントです。
2. 英語学習:たとえ日系企業を目指していても、英語スキルがあれば対応業務の幅や応募先企業を増やすことができます。※日本の読者向けに内容を変更してあります。
3. 業界最新トレンドのキャッチアップ:Figmaのようなメジャーツールと合わせて、UXデザインの最新ツールも試してみるのがオススメです。モーショングラフィックスやAR/VR統合といった最新トレンドにキャッチアップしておくと、業界内での競争性や専門人材としての価値を高め続けることができますよ。
4. 資格取得:履歴書にニールセン・ノーマン・グループ(NNG)のUX認定などの資格が記載できると、採用担当への強力なアピール材料になります。
5. 同業者間ネットワークの構築:デザイン関連のミートアップ勉強会に参加するチャンスやテック市場に精通したリクルーターと知り合う機会を大切にしてください。
FAQ:UI/UXデザインに関するご質問
ここからは、UI/UXデザイナーに関するよくあるご質問を紹介いたします。以下の疑問を抱えている方はいらっしゃいますか?悩まれる方の方が多い項目なので、ご安心ください!
1. 英語は必要でしょうか?
応募先次第です。ただ一般的には、国内市場戦略に特化した日系企業の場合、英語が必要になることは稀です。しかし、プロダクトのグローバル市場展開や海外ステークホルダーとの連携が必要になる場合は、英語対応が求められることもあるかもしれません。
対照的に、外資系企業の場合、業務内外の職場コミュニケーションが英語になることが多くあります。また、UI/UXデザイン担当としては、日本の言葉や文化を通して得られる美的・機能的感覚やユーザーの声をグローバルなステークホルダーに円滑に共有・発信できると大きな強みになります。ローカルな気付きをグローバルに共有することで、プロダクトのローカライズへの寄与やさらなる発展・可能性を切り開ける人材として重宝されることでしょう。
2. 慣れておくとよい業務ツールはありますか?
Figmaが最も利用されているUI/UXツールです。業務のために操作に慣れておきましょう。また、Adobe Creative Suite(Photoshop、Illustrator) や、Axure などのプロトタイピングツールが扱えるかも重要です。さらに、開発者サイドとのスムーズな連携ができるかの指標として、業務で実用できるレベルのHTML/CSS習熟度があるかを企業側が気になるポイントです。
3. UIデザインとUXデザインはどんな点が異なっていますか?
UI(ユーザーインターフェース)デザインでは、ボタン・アイコン・レイアウトなどプロダクトの「外観」や「操作性」が重要なポイントです。一方で、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインは、ユーザーのプロダクト体験全般が着目対象です。ユーザーインタビューやユーザビリティテストの実施、ワイヤーフレームの作成を行います。ただし、中小企業では担当者が分かれておらず、UIデザインとUXデザインの両方を担当することが多くあります。
4. 全般的なスキルと専門的なスキルのどちらにフォーカスすればいいでしょうか?
組織規模や企業形態によって異なります。中小企業では、専門分野を持たないジェネラリストが重宝されます。 UI/UXデザイナーとしての役割に加えて、グラフィックデザイナー業務も任されることが多くあるからです。対して大企業では、UIデザイナー、UXデザイナーといった専門特化型のスペシャリスト求人が多くなります。特にゲーム業界やEC業界の大企業では、この傾向が顕著です。 目指す業界や企業形態の目星をつけると、方向性が自ずと定まってきますよ。
5. どの業界でUI/UXデザイナーの需要が高いですか?
UI/UXデザイナーが求められる業界は複数あります。
以下は、とりわけて需要の高い業界と対応業務の一例です。
ゲーム業界: プレイヤーがゲームの世界観に入り込めるインタアーラクティブなユーザーインターフェースの設計
EC業界: スムーズで快適なオンラインショッピング体験の設計
フィンテック業界: 操作が簡単でセキュリティの万全な金融サービスプラットフォームの開発
B2B SaaS分野: 複雑な業務アプリのユーザビリティ改善業務
6. どうすれば、他の候補者からリードできるでしょうか?
ポートフォリオでのプロセス視点の共有:ポートフォリオ自体と併せて、実施したリサーチや作成したワイヤーフレーム・プロトタイプなども掲載・提出してください。
ユーザー中心設計やモバイルプラットフォーム・Webプラットフォーム開発プロジェクトの開発経験:しっかりと伝えていきましょう。企業側も既に経験がある人材に強い関心や期待を寄せています。
日本と欧米における感覚の違い:国や地域によるデザイン原則や社会的な美的感覚の違いを意識してみてください。日系企業のグローバル展開や外資系企業での業務で役立つ視点が養えます
7. UI/UXデザイナーには、どのようなキャリアパスがありますか?
各企業で差異がありますが、以下のパターンが一般的です。
ジュニアUI/UXデザイナーからミドルレベルデザイナーを経て、シニアプロダクトデザイナーに昇進。
シニアデザイナーからリードデザイナーを経て、UXディレクターやチーフデザイナーへ昇進。また、人材マネジメントに挑戦したい場合は、チームマネジメントやより重要度の高いプロダクト戦略策定を担当するポジションへ進むことも可能です。
8. 国や企業形態によって、業務に違いがありますか?
はい、あります。以下の3つが主なポイントです。
文化的要素: 欧米では、実用性に特化した「機能美」というデザイン哲学があります。一方、日本のデザインは、「シンプル性」や「工夫を凝らした装飾性」が一般的であり、機能性をメインとしたデザイン設計にはあまり馴染みがありません。
チーム構成: 中小企業では、複数役割の兼任できるジェネラリストが要求されます。一方で、大企業や外資系企業ではスペシャリストとして専門の業務範囲にフォーカスすることが多くあります。
デザインの価値や機能的重要性: 外資系企業に比べると日系企業では、デザインの装飾的な側面のみを意識することが多いです。国内でもビジネス戦略やプロダクト設計におけるデザインの重要性が認知されつつありますが、日系企業の場合、社内でデザインの価値や機能的重要性を説明・提案する交渉力を求められる場面が多くなるでしょう。
9. コーディングの知識が必要でしょうか?
コーディングは必須スキルではありませんが、HTMLやCSSの知識は大きな強みになります。
開発者とスムーズに連携が取れるほか、デザイン設計の中で実装が可能なデザイン作りを考える習慣が得られます。また、フロントエンド寄りのポジションでは、基本的なコーディングスキルが募集要項に組み込まれていることもあります。
10. UI/UXデザイナー転職のオススメな準備方法はありますか?
もちろんです。以下がオススメですよ。
ブートキャンプ(集中トレーニング講座): Le Wagon や Code Chrysalis などからデザイン設計と開発についてのトレーニングプログラムが受講できます。
資格取得: ニールセン・ノーマン・グループ(NNG)のUX認定などが取得できると、企業側に戦力としてアピールできます。
ネットワーキングイベント: 東京を中心としたテック・デザインコミュニティがあり、交流も盛んに行われています。ミートアップやイベントに参加をすることで、気になる業界でのネットワークが広がりますよ。
UI/UXデザイナー職への転職をご検討している方は弊社までぜひ、無料ご相談ください!